前回のブログ、学院長特別講習のエンディングを飾りましたお菓子「菊被綿(きくのきせわた)」について、ふれてみます。
「9」という数字は、私たち日本人は「苦(く)に通ず」と言って苦手な数字と捉える人が多いと思います。
中国では、9は陽の数字として好まれ、特に9が重なる9月9日は「重陽の節句」として大切な年中行事の1つです。
「重陽の節句」には、菊酒や菊被綿で長寿を願います。
菊被綿は、前日の9月8日に菊の花を真綿で被って、その香を移し、翌9日の朝、露で湿った真綿を顔にあてて若さを保とうとすることです。以下にもう少し詳しく書いてみます。
古代中国では菊は仙境に咲いている花とされ、破邪延寿の効能があると信じられていたため、この菊の香と露とで身を湿して不老長寿を願いました。
宮中の重陽の行事としては平安前期の宇多天皇のころに始まりましたが、当時は特に細かい決まりがあるわけではなかったようです。しかし近世に入ると、「白菊には黄色の綿を また黄色の菊には赤い綿を 赤い菊には白い綿を覆う」との記述が『後水尾院当時年中行事』などに見られるようになり、さらに綿の上にも小さな菊綿をめしべのように載せることになっています。重陽の日に菊の咲かない年は、綿で菊の花を作りました。
古典文学にも『枕草子』『源氏物語』『弁内侍日記』等をはじめとして所見が多く、色々な逸話としてその中に記述されております。
9は苦手な日本人も「菊の花」となれば皇室を象徴する花でもあり、桜と並び日本人に好まれる文様です。
20代後半に求めた初めての色留袖。当時は地味でしたが、現在も充分愛用しております。
人間国宝 北村武資さんのしゃれ袋帯。着用範囲の広い帯です。
よく見ると菊の桧扇の袋帯。他の季節にも流用します。
今のシーズンに最適の菊文様の袋帯。
私もこれからの季節「菊文様」のきものや帯の出番が多くなります。